ちょこママnz

ニュージーランドでいろいろ感じること、ハッピーだなと思うことを書き留めたい。

Our tree ずっと見守ってね

南島の旅、その中で再度訪れた場所がある。クライストチャーチにあるハグレー公園だ。

 

面積は165ヘクタール。東京ドーム約35個分に相当。その広い公園に私の特別な場所がある。今では「私達の木」とだんなと呼んでいる松の大木だ。だけど、今はその木はない。2011年の大地震の影響でか、病気で切られてしまったのか、理由はわからない。

 

数年前に、地震後初めて訪れたとき、私達の木がなくなっていたのに呆然としてしまった。

 

この木は、私の学校から歩いてすぐ。エーボン川にかかる橋を渡ってすぐの場所にすーっとまっすぐ上に伸びていた。表皮はひび割れみたいになっていて、触るとポロッと落ちることもあった。クライストチャーチから仕事のため離れたときに、この木の皮を数枚もらって一緒に引っ越した

 

キィウィたちに混じって、留学生はたったの二人。キィウィの生徒だって「勉強大変!」って言っているのに、38歳で入った私はもっと大変。頭がハゲるか、っていうくらい勉強した。留学生という事で、どうしても現地の生徒からのちょっとした意地悪もあった。例えば、「みんな誕生日を書いて回してね」っておっきい声で言っているのに、私と韓国人の子には紙が回ってこないのだ。心の小さな人たちだなー、アホらしい。別に誕生日なんて知らなくていいや、と思った。

 

先生の話すスピードが早くてノートを取るのも間に合わないときは、単語と数字と矢印でガンガン書くか、綴がわからないものは音が頼りでカタカナで書いていく。家に帰ってから内容と似た音の単語を探して、「あ、そういうことね」と理解していった。

 

そんな毎日に、ちょっとしたことがぐさっと来て、泣きたくなったり、寂しくなったりした。

 

そういうときに、この木に会いに行っていた。そばに行って、木にハグして心のなかで「えーん、今日はなんか寂しい」、「辛い」などと気持ちを聞いてもらっていた。

 

だんなと付き合いだして、「私には特別な木があるんだー」、と話すと「僕も会いたい」と言った。付き合うまで全く気づかなかったが、実はだんなが務めていた会社と私の学校は一つのビルを挟んでご近所さんだったのだ!だから、仕事の休みにクライストチャーチのだんなに会いに行ったときに二人で私達の木に会いに行った。

 

それ以来、だんなも仕事できつかったり、なにかあったらこの木に聞いてもらっていた。

 

先日の南島の旅でクライストチャーチに泊まったときに、私達の木に会いに行った。前に訪れたときには気づかなかったが、根っこが残っていた!うれしい!思わず撫でてしまった。傍から見たら変な人だよな。いいのだ、私は会えて嬉しいのだ。

 

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現在の様子。

 

 

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私達の木はこの辺にあった。

 

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木の根っこが残っていた!

 

 


だんなと私が婚約するときに「婚約リングはどんなのにする?」って聞いたら、なんと「僕の文化では結婚リングだけだ。婚約リングはなし!」と言われてしばらくはショックだった。えー、日本では給料の3ヶ月分とか宣伝していたよな。えー、キィウィに聞いてもエンゲージリングって普通みたいよ。何、私にお金使いたくないの???と大ショック。

 

だけど、だんなにいくら自分の国での話や、ニュージーランドでも決して珍しいことじゃないと話しても頑なに「ノー」。ま、じゃいいや。私は指輪をもらえるから婚約するわけじゃない。そう思うことにした。だんなが好きだから婚約するのだ

 

結婚指輪も私だけと言うことで、宝石店で見て回った。だけど、イマイチこれがいいというのがなかった。

 

たまたま入ったアート・ジュエリーのお店で話しかけてきたおじさんが「なにか君たちのシンボリックなものをかたどったリングを作るのはどう?なにかそういうものある?」と提案してくれた。私には、ある。そう、私達の木だ

 

すると、だんなが急に「僕も君といっしょに僕達の木をあしらったリングをつけたい」と言い出した。すごく嬉しかった。

 

世界にこのペアのリングしか存在しない。私達の特別な木だ。いつも一緒にいれるよ。

 

こうして私達の木は、今私達の指にはめられている。

 

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左が私の木の根っこを、右がだんなの木の皮をかたどった指輪。すごく気に入っている。

 

 

私が村に引っ越すときに持っていった木の皮は、ドイツに引っ越すときも連れて行った。その時は、また私達の木に会うことはあるのかなー、という思いだった。本当は連れて帰りたかったが、ニュージーランドに入国するときに検疫で引っかかるのは明らか。だから、ドイツのお友達にお願いして彼女の庭にまいてもらうようにした。

 

私達の木よ、ドイツとニュージーランドでずっと私達のことを見ていてね。