夜9時過ぎ、洗い物を拭きながらだんなと話していた。結構近くで消防車が「ブーブー」と「そこどいて!」のホルンを鳴らしてるのが聞こえた。うちの近くのアパートは結構夜中に誤警報が作動して消防車がしょっちゅう来る。まるで「オオカミが出るぞー」になれた村人のように私たちも聞き流すことが多くなった。
「なんかさ、アメリカの映画みたいだよね。街中はいつもサイレンが聞こえる」とのんきに話していた。
そこに息子が下りてきて、「なんかさ、部屋が煙いなと思ってどこから来てるんだと探してたら、近所から炎が出てるよ」と言うじゃないか。
急いで2階の寝室へ行くと、え、3軒隣が燃えている!
見えるかな。ビデオで見ると炎は小さく感じるけど、目で見ると結構大きく感じた。そして、もくもくと黒い煙。多分、大きなクリーニング店が一階で、2階がマッサージサロンでそこがフィンランド式の本格サウナがあるんだよね。多分あそこのビルじゃないかと思う。
うちのアパートの向かいは低いビルを挟んで結構高さがある。10階以上はあるんじゃないかな。みんな心配そうに消防士が消火作業をしているのを見守っていた。
私もスマホでビデオを撮っていると、息子が後ろから言う。
「もし避難勧告が出るかもしれないから用意しよう!」
「え、いや、そこまではないんじゃないかな」と言う私を彼は諭す。
「時間があるうちに用意だよ!」
だんなは大きくうなずき、スーツケースに着替えを入れる。
「一日分でいいよ。多分大丈夫だよ」と言う私に、だんなは
「息子の言うとおりだよ。用意周到、いいじゃないか、無駄になっても」
「え、じゃ、充電器と、薬と、現金。こんな時のために現金を持ってるんだ!」と私。
そうこうしているうちに、炎は収まり、煙の色が白くなってきた。でも、この煙が長く続いた。
今10時17分。2階からのぞくと、4人の消防士が上着は脱いで、紺色の半そでティシャツで汗をかいたのだろう、水を飲みながらリラックスして話している。ありがとう。守ってくれて。消火作業も立派だったよ。
確か彼らや警察官は残業になってもお手当は出なかったと記憶している。みんなを守ってくれているのに、もっといい待遇になることを祈っているよ。