前回の続き。
いよいよ腰が痛いということで朝病院へ向かった。病院に着くと、助産婦が「トーストでも食べましょう」と言ってくれたので、ほっとした。おなかペコペコだ。
が、すぐに戻ってきて「もしかしたら帝王切開もあり得るから、お医者さんは胃のなかに食べ物が入ってるのを嫌うのよ。食べるのはなし!」と言ってきた。えー、昨夜6時に夕飯を食べたのを最後に何も食べてなーい。おなかへったー。
でも、きっと産んだらすぐ食べれるよね。きっとそうだよ。その時はまだそんなふうに明るく考えれていた。
だんなが病院に着いた。だけど、昨夜頭打っているし、もしかして血が苦手なのかも。私が破水した後に「血が混じってるかな?」って言って失神してるもんな。だんなには安静にしていてほしい。
そして、私にはもう一つ心配なことがあった。実は、妊娠中2回(若いママは一度しかとらない。日本とは大違い)とった超音波の写真で2回目に首にあるひだの厚さがダウン症の疑いがある厚さだった。私は可能性だけで赤ちゃんをあきらめることはしたくなかったので、産む決心をしていて妊娠中にダウン症の家族の会があることなど心の準備はしていた。だんなも同じ考えだったけど、もしかしてだんな、いざ生まれるとなったら怖くなったのかな。そんな暗いことが頭をよぎっていたのだ。
だけど、もう破水している。息子はもうすぐ生まれる。私は産む。今は心配なことは考えない。
無痛分娩を希望していたので、腰の痛さがつらくなったら痛み止めの針を腰に差してくれた。あ~、痛みが和らぐ。だけど、一向に産道が開かない。
結局、微弱陣痛で息子のモニターの数値が芳しくない状態になってきたので、緊急帝王切開になった。
これは部分麻酔で、おなかのあたりにブルーのカーテンが置かれ、腰から下が私からは見えない。だんなはシャワーキャップのようなものをかぶり、かっぽう着みたいなPPEを着ていて手袋を付け私の横に。おなかを看護婦がつまむが痛くない。どうやら麻酔が聞いてきたようだ。今からメスを入れますねー。
息子の産声が聞こえた。医師が「この子の肺は丈夫だ。声がおおきい」と言って取り上げた。まだ血が少しついている息子を助産婦が私のところに連れてきた。きゃー、泣いている。キャー赤い。本当に赤ちゃんだ。これが午後3時過ぎ。
すぐに息子をひっくり返して私の胸の上に置いた。おー、これがカンガルケアーか。おー、産まれたー。自力で産んでないから「出たー」という実感はないが、こうして泣いている息子を胸に乗せてもらうとなんだかうれしくなる。
そこへ助産婦が「医者がダウン症ではないって言ってるわ」と伝えに来た。あ~、よかった。覚悟は決めていたが、やはりそうではないと聞くとほっとする。生きて生まれてくれてありがとう!
さあ、ママはこれから食べていっぱいミルクを出せるよう準備だ!
が、それは夢と化した。現実は全然甘くなかった。前日の夕方6時以降何も食べず、出産翌日の朝まで食事と水分補給はお預け。術後に氷を口に含むのはオッケーと言われてつい、お代わりをお願いしたら怒られた。濡れたタオルで口を拭くのみと言われてがっかり。
息子の誕生日、母はおなかがすき、のどがカラカラで最初の戦いが空腹、という自然分娩のお母さんには想像ができない苦労と戦ったのだ。あ~、つら~かった。
