ちょこママnz

ニュージーランドでいろいろ感じること、ハッピーだなと思うことを書き留めたい。

やっぱり映画っていい

先週の日曜日、"THIS IS NEW ZEALAND"を観に行ってきた。日本題はそのまま、「これがニュージーランドだ」だ。まるで、「芸術は爆発だ」と同じノリだな。

 

1970年に開かれた、日本万博に参加した、ニュージーランド。これを機にニュージーランドのそのままの姿を世界に知ってもらおうと、撮影されたショートフィルムを万博のニュージーランド館で上映し、ものすごい人気を博したらしい。と言うのも、美しいニュージーランドの映像だけでなく、3台のカメラを使って撮影された映像を3つのスクリーンで同時上映するという、前代未聞のショーだったからだ。

 

その映画をデジタル化し映画館の一つのスクリーンでも上映できるようにしたのが2007年。そして、撮影当時のエピソードや関係者のインタビューの映像も上映するという事で、今回スペシャル上映会が開かれた。

 

しかも、当時のスタッフが質疑応答のゲストとして来るという。私はBehind the scenes(この映画を取るために起こったいろいろなエピソード)を聞くのが好き。絶対に参加だ〜、とだんなと息子を引き連れて行ってきた。

 

50年前のニュージーランドの様子を見れる。一体どんな暮らしをしていたんだろう、そう思うともう胸がワクワク。

 

ピトネと呼ばれる町の映画館に入るときに、以前住んでいた家のお向かいさんがちょうど入り口に差し掛かるところだった。黒い、大きなサングラスをかけている。ちょっと彼女か一瞬考えたけど、多分、あのヘアスタイル、とても高そうな装い、きっと彼女だ。

 

だんなに、「あれって、昔のお向かいのKさんだよね?見た?」と聞くと、彼ももしかしたらと思ったらしい。中に入ると、ちょうどチケット売り場に彼女が並んだばかりだった。すぐ後ろに行き、「Kさん!」と声をかけた。だが、「あら〜」、と言ったきり彼女はスマホに目を戻す。あれー、もう引っ越して1年経つからそんなに親近感ないのかな?とちょっと寂しかった。

 

待ち時間にコーヒーを飲んで、いよいよ上映館へ。私だけちょっと遅れて席につくと、誰かが私の肩を叩いた。

 

Kさんだった。え、指定席が私の後ろ〜。うぉー、すごい偶然

 

Kさん「どうしてこの古い映画観ようと思ったの?」

 

私「3つのカメラ、3つのスクリーン、っていうところに惹かれて。それに私日本人だし。大阪万博知らないけれど、どんなふうに日本の人がこのフィルムを楽しんだのかな〜、っと思って。」

 

Kさん「この映画ね、私のパパが撮ったのよ!」

 

ええ〜〜〜〜〜〜!すごい。予約するときにちょっと写真やら予告編見たけど、すごい素敵な映像とパワーが溢れていた。えー、それをKさんのパパが撮ったんだ!

 

だんなに興奮して、そのことを告げた。すると、ちょうど館内が暗くなり、短い挨拶が進行役からあり、映画が始まった。最初に、マオリの音楽と彼らの絵や昔使っていた武器が映る。そして、ビーチの映像が、3枚の画として映る。動きが早く、躍動的。音楽も軽いテンポでいい。

 

そして、当時の街中の様子、人々のファッション、幼稚園の様子。動物たち。あっという間に20分の映画がワクワク感を裏切らず、終わった。

 

続いて、この映画を撮影するにあたってのエピソードを当時の映像、写真、当時のインタビューを交えたフィルムが上映された。これが面白かった。なんか画期的なことをしたい、じゃ、3つのカメラで撮影、3つのスクリーンで上映はと言う突飛なアイデアを現実化するのに苦労した。でも、その甲斐あって素晴らしいものが出来上がった。

 

すると、ニュージーランド国内でもこの映画を観たいという声があがった。しかし、3つのスクリーンと映写機を用意できるような大きな上映館はなかったので、オークランド、ウエリントン、クライストチャーチなどの大都市でしか上映はなかった。遠方から特別貸し切りバスに乗って映画館に訪れる人もたくさん出るほどだった。

 

当時の料金は、大人40セント、子供20セントだったが、それでも長蛇の列ができたそう。

 

ちなみに、New Zealand History のサイトから引用すると、(1975年の数字になるが)大人の最低賃金が$1.95ドルなので、当時映画代が40セントとなると時給の20%となる。2021年の最低賃金は、$20だからその20%なら$4になる。だけど、ウエリントンのフルプライスは$18.50ってとりすぎじゃん。と言うか、どうして現在の映画代ってこんなに高いの?

 

In 1975 the average weekly wage was $95 (equivalent to $920 in 2018). This rose to $157 by 1979, but because of inflation the average Kiwi was no better off. The minimum wage for adult workers was $1.95 an hour ($11.10 in 2018) and the average hourly rate was $4.52 ($26).

 

https://nzhistory.govt.nz/culture/the-1970s/overview

 

関係者のインタビューは面白かった。ニュージーランド館には赤い絨毯が敷いてあって、VIPが来たときに重宝した。それを見たソ連館の人たちが自分たちのVIPが来たときに絨毯を借りに来たなど、へー、っというようなことも知ることができた。

 

なぜ、ニュージーランドの映画にフィンランドの音楽を使ったの?と問いには、ニュージーランドの曲でピッタリと合うものがなかった。で、Karelia Suiteの曲を使ったんだ。でも、ちゃんとマオリの音楽も使っているよ、とかわいい。

 

また、若き日のピーター・ジャクソンも当時感動したと語っていた。

 

そして、インタビューが進んで、びっくり!なんとKさんのママが大きなスクリーンにどーんと映し出された。Kさんパパは1990年に亡くなっている。だから、その奥さんが知るその当時の話をという事でNさんが話しているのだ。わー、わんちゃんのお散歩をたまに私がやって、そのときにちょこちょこ話していた人が大画面で喋っている!14年前だから、背筋もぴしっとして、とても美しい!きゃー、と声には出さなかったが大興奮の私だった。

 

ただただ映画を観、話を聞きに来たのに、こんな展開になるとは!幸せ!

 

 

 

 

 

 

 このサイトに行くと、短い予告編がみれる。

www.nzonscreen.com

 

 

 日本万博の情報。

www.expo70-park.jp