久々にスタジオに顔を出してみた。11月にコロナにかかってから、なんか体が本調子でなかったのだ。
建物に入るとみんなが楽しそうにそれぞれの作業をしている。
「あ、ちょこ!どうしてたの?ずーっと来てなかったよね?」と何人から声をかけられた。
嬉しいな、やっぱり自分の居場所があるって。
今月いっぱいで退職して、ブラジルに留学する先生Aさん。まだまだ若い。学校を終えたって言ってるから、もしかしてまだ10代?もしくは、どう見たって21歳くらいかな。若い彼女は、国から奨学金を出してもらってブラジルでポルトガル語を学ぶらしい。
A先生と話していると、おばあちゃんのOさんがやって来た。
「A先生、ブラジルに行くんですって?誰か家族かともだちがいるの?え、いない。心配だわ〜。誰も知っている人がいないなんて」って言い出した。
おい、おい、Oさんだって誰も知らない外国のニュージーランドに、ご主人とふたりその昔やって来たんじゃない。おんなじだよー。若いから、冒険して見るのはいいことじゃん、と心の中で思った。
Oさんは続ける。
「私がね、夫とトルコからやって来たのは1963年。その頃は、買い物に出かけると『ご主人が一緒に来て払わないとだめよ』と食品店で言われたの。トルコじゃ一人で買い物に出て、自分で払っていたのにね。それに、当時の女性は手袋をしていたの、手にはバスケットを持ってね。しかも、通貨はポンドだったわ」となんだか100年前くらいの話じゃないのか、と思うようなことを話してくれた。
A先生と私は「えー、なんかイメージ違う〜。だって、1893年に世界に先駆けて女性に選挙権が与えられた国でしょ。ケイト・シェパードさんと多くの女性が活動して勝ち取った。そんなニュージーランドで『だんなが財布の紐を持っている』なんて〜、しかも、買い物についてくるなんて〜」と驚いた。
なんだかにわかには信じがたい話だったので、調べてみた。
60年前、通貨はポンド
ポンドは20シリング、または240ペンスに分割されていた。その結果、1シリング=12ペンスとなった。人々は端数の処理に慣れたが、それは複雑だった。
1963年、政府は10進法への移行を決定し、1967年7月10日を「10進法通貨(DC=Decimal Currency)デー」と名付けた。
新しい10進法の貨幣の名称をめぐって公開討論が行われた。当時ほとんどの人がアメリカの通貨を連想していた「ドル」との混同を避けるため、「kiwi」や「zeal」といった言葉が提案された。
しかし、最終的には「ドル」という言葉が選ばれ、「ミスター・ダラー」が変化のシンボルとなった。
帝国通貨からの変更には、大々的な宣伝キャンペーンを含め、多くの労力が費やされた。一連のテレビ広告は、ニュージーランドの視聴者にそのコンセプトを紹介した。
出典元 https://www.rbnz.govt.nz/money-and-cash/banknotes/the-history-of-banknotes-in-new-zealand
翻訳 Deepl
これが当時のモダン・ファッション?しかも、ティーンが落ち着きすぎてる
たしかに、女性は手袋をはめているな。(ウエリントン)
出典元 ‘Real Modern: Everyday New Zealand in the 1950s and 1960s’ | Vivienne Morrell
14か15歳くらいだった、と書いてあるのを読んでびっくり。落ち着きすぎ〜。(オークランド)
出典元 Auckland street photographer's historic pictures reunite school friends - NZ Herald
これを見ると、やっぱりオークランドのほうがより現代的だな。ちなみに、ウエリントンは首都で、政治の中心地だ。しかし、ビジネスにおいてはオークランドのほうが栄えているし、より都会。
生活のお買い物はグロサー(生活品・食品店)で。店員はシャツに、ネクタイ
出典元
Co-ops became an institution, with membership peaking in the 1960s | Stuff.co.nz
ほぼほぼOさんが表現したものと一致した1960年代。だけど、「夫が買い物に同行し支払った」と言うのは見つからなかった。よっぽど高級店で買い物していたのかな。
なかなかおもしろい話を聞けて良かった。私が知っているニュージーランドは1990年から。あの頃は、スーパーが「日曜日も営業する」と言う新しい法律にキィウィは反対デモをやっていたな。「日曜日は神様が安息日として定めた。みんな休むべき。スーパーは開けるなんて反対!」って言ってたな。懐かしい。
ちなみに、私は1990年にニュージーランドに着陸したら、まず機内で座ったまま殺虫剤を頭の上からからかけられた。「ニュージーランドに生息しない虫が入国するのを防ぐため」だった。農作物に影響が出るのを恐れているのだ。心底びっくりした。