その日、会社から帰ってきただんなは疲れていた。前日のキレキレ会長のリストラ発表から一夜明けたオフィスは、それはそれは暗い雰囲気だったらしい。皆、仕事に気が入らない。
前日の様子がわかるのはこちら
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そ~だよね。気まずいよね。誰かはリストラ、誰かは残る。
だんなは会社の帰りに数人の同僚とちょっとだけ飲みに行って、色々と互いの思いを話したらしい。うーん、つらい。
おそるおそる、「ね、リストラの該当者はいつ辞めることになるの?もう、今日から仕事はしてないの?」と聞くと驚く答えが返ってきた。
「それがね、わからないんだよ。該当した、って言ってるくせにX月Y日に退職、ではないらしい。これから一人づつ面接があって詳細を決めるらしい。全然先が見えないから、みな就活も始めたいのにね。なんだよ、これ」とだんなが言った。
そうなんだ。なんかもうバッチリいろんなことが決まっていると思いきや。今回のリストラは全社で700人以上の人が切られるらしい。すごい。
実は、だんなは昔リストラにあったことがある。だんなも私もかなりショックだった。息子も小学校に上がったばかりだった。
だが、その時のリストラは今回とは全然ちがった。最後は感動した、と言ってもいいくらい。
その会社は市場を徐々に増やしていき、アメリカまで進出した。が、ビジネスの仕方が違いすぎる市場だったのでうまく行かなかった。その影響で、やはり大きなリストラをせざるおえなかった。
が、社長がウエリントンにある大手企業数社に頭を下げ、「うちの社員をそちらで雇ってもらえるよう、どうか面接をお願いします」と駆け回ってくれたのだ。
しかも、リストラの発表後は、「まずは就活を始めなさい。仕事はその後。面接に行くなら、仕事を抜けるのは全然ありだから」と、とにかく食いっぱぐれにならないように、一生懸命やってくれた。
おかげでだんなも(社長が頭を下げお願いしてくれた)大企業が開いてくれた会社説明会に行き、面接を受け、入ることができた。本当にありがたかった。
なのに、大企業の今の会社はどうやらちがうみたい。
こんな時に、高校で習ったことわざを思い出す。
とし寒くして松柏のしぼむにおくるるを知る
寒い冬にこそ、松や柏が緑の色を保てる力をもっていることがわかるように、艱難にあったときにこそ、その人の真価がわかるものだ、って意味だったと思う。前の会社の社長はすごい人だな、と今でも思う。