ちょこママnz

ニュージーランドでいろいろ感じること、ハッピーだなと思うことを書き留めたい。

ジェームス・クックとマオリとアイヌ(2)

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電話に出たTさんに「ね、ワカには乗らないよね?ごめんね、このワカがアオテアロアを見つけた歴史はマオリにとっては祝い事じゃないよね。いま、気づいたよ!」と口早に伝えた。

Tさんは「とにかく、そこにいて。私が何とか(乗船できるように)するから!」と。

大丈夫かな?なんか、このそばを歩いているマオリの人、なんとなく怖い雰囲気を漂わせてるよー。

しばらくすると、Tさんがやってきた。「大丈夫、大丈夫。とにかく並ぼう。」

並びながら、もう一度謝り、無理して乗船すること無いよ、と言う私に、

「確かに、いやな出来事だったけど、過去のこと。とにかく、どんなワカでやってきたのか見てみよう」と言うのだ。 

この私たちの会話を聞いていた前に並んでる、若い白人のカップルが、「私たちに乗船することを考え直してほしい?」と聞いてきた。Tさんは「そうね。私たちに何が起こったのか、を考えてね。とにかく、見てみよう」と言った。わー、こんな会話が起こるなんてすごい!感動。きくと、彼はイギリスから、彼女はイギリス移民の子でニュージーランドで生まれた女性。そして、Tさん。奪った民族と、奪われた民族。なのに、こうして平和に会話している。

Tさんいわく、「これは上陸250年の記念。マオリにも受け入れる気持ちがあるものと、まだ怒りと悲しみの気持ちでなかなか受け入れることができない人もいる。だけど、250年前にこのことがあったから、今のこの国がある。これは事実。きっと、100年後はみなが『大きなイベント』として受け入れているだろう」と。Tさん、すごいなー。 

並んでいる私たちにスタッフがメールアドレスをくれたらアンケートを送って人々の意見を聞きたい、と話しかけてきた。Tさんはしばらく沈黙のあと、「今回いろいろ違反しちゃってるからメルアド渡すのは勘弁ね」と言った。あ、やはりこのワカに乗るのは掟違反になるんだよね?

乗船時になぜか強い風と雨。びしょびしょになりながらも私の写真をとってくれたTさん。マオリのワカにも案内してくれた。説明しているお兄さんもびしょぬれ。降りてしばらくすると、なぜか雨はやんだ。

お茶をしながら、今日案内してくれたことのお礼を言った。マオリの立場からは難しい状況だったのをきにしている私に、「マオリはね、難しい状況でも不案内な人がいたら案内するの。あんたはあのワカのこと知らないって言ってたから、じゃ、案内しなくっちゃってね。」あー、なんて温かいんだろう。感動。

すると、もっと感動な話を聞けることに...。

(3)に続く。