Tさんから意外にもアイヌの人たちの事を聞いた。
「今ね、マオリはアイヌの人たちに自分の文化を継承するってどういうことか教えてるんだよ。」
え?アイヌ、って北海道に住む先住民だよね。北海道旅行に学生時代に行って、確か歌を聴いたか、木工品のお土産を買ったときに会ったな。Tさんの口からアイヌのことを聞く何て予想もしなかった。
なんでもニュージーランドの北島に文化継承のセンターを造っているところ(って言ったと思う)とか。すでに、アイヌの高校生くらいの年代の子がマオリ文化を学びに留学しに来ているのだそうだ。へえええー。すごい。
マオリ文化を学んだあと、自分の文化を継承していくとはどういうことかを体験して、自分たちのアイヌ文化をしっかりとあとに続けていけるようにその心得を学ぶらしい。
マオリには有名なハカ(ラグビーのオールブラックスが試合前に踊るのが有名)があり、アイヌの子がそれを学ぶ。そして、どうやらアイヌ語でもやるらしい。とにかく、先住民の誇りを失ってほしくない、ハカを踊る事で自分たちマオリの強い民族意識をアイヌの若者に肌で感じ取ってほしいのだと。
Tさんいわく、「アイヌの人たちは自分たちの居場所がどんどん狭まってきて、その文化を失っている、そんな感じらしいよ。もったいない。マオリが教えてあげようじゃない、つないでいくんだよ、って。」
確かに、マオリの立場は特別だと思う。特に、隣のオーストラリアのアボリジナル(私が住んでいた頃はまだアボリジニとよんでいたが、どうも最近はアボリジナルとよんでいるらしい。ウィキペデイアより)と比べるとかなり保護されていて、国の文化だと受け入れられていると思う。
私がオーストラリアに住んでいたときの、限られた人間関係からの感じだが、オージー(オーストラリア人)たちはアボリジナルの人を見下していると感じだ。辛らつなジョークも耳にした。住んでいた都市でアボリジナルの人を見かけたのは数回だけ。アリススプリングスのあたりに集中してすんでいると聞いた。
一方、マオリは確かに北島のほうに多く住んでいるけど、結構全国にいると思う。小学校では、マオリ語も授業に取り入れられているし、それぞれの学校でハカをやる。学校の集会の前にはカラキア(もちろんマオリ語で)と呼ばれるお祈りのようなものをやってから始める。ポフリとよばれる”新入生”歓迎会でも、まずは新入生とその親が校長はじめ、先生、生徒代表とホンギというハナとハナをくっつけてする挨拶をする。こうして書いてみると、学校生活にマオリの文化が浸透しているのが感じられるな。
私が知らなかっただけで、「マオリとアイヌ」で検索をかけるといろいろ出てきた。そうなんだ、私の生まれた国と息子が生まれた国がこんなふうにつながっているんだ。うれしいな。そして、こんな素敵なことを教えてくれたTさん、ありがとう。