さて、前のポストを読んでくださった忍耐力のあるあなた。私が「なんかがっかりな個展」となりつつあったときに、スタッフの人と会話してグレンのクレージーさに圧倒されたことをシェア。
choukoureimamanz.hatenablog.com
友達と「うーん、これただのプラスチックの椅子にゴムタイヤを切ってはめただけじゃん。甘いなー。」、「これを木で作ったら面白いのにね」と話していると、「これどうやって作っているかわかる?」とかわいいお姉さんが話しかけてきた。
「タイヤのここに切れ目入れてはめてますよね。」と答えると、「ふふふ。これ、全部木材で作っていて…」と説明をしてくれた。
え、どうやってもプラスチックの椅子とゴムタイヤにしか見えない。え、どんなペンキを使ったらこんな質感出せるの????と驚き。どっから見てもプラスチックとゴムだぞ。タイヤの溝も彫ったの?
画像は、すみません、驚きすぎて取り忘れ。
それなら、今見てきたものには何かストーリーがあったり、意味があるのか?お姉さんと入り口に戻り話す。と、彼の作品が面白いことに気づく。
まずは、思い出そう。彼の作品は「彫刻、塗装、概念論の融合」だ。
入り口のオフィス。全部木でできていて、ペイントしている。「え、まさかあの椅子のキャスターもそうですか?」と興奮気味に聞くと、「そうよ。」とお姉さん。えー。
こんな、プラスチックがあちこちにぶつかってできたような擦り傷。伸縮のために蛇腹になってる背もたれの支えの再現。
このオフィスの様子は、映画「マトリックス」のネオのオフィスの静止像から作られている。いぇー、映画見てないから知らないけど、とてつもなく質素なオフィス感が漂ってる。コンピューターもデスク・ランプも何もかもが木。すべてのものがその質感をちゃんと出している。本当にどれが本物の素材でできているかわからない。いや、すべて木だ。
さあ、ちょっと馬鹿にしちゃった車。これは、トヨタカローラで、グレンが子供の時に見たものだという。だから、車の外装は適当なのか(そこまではっきりおぼえてない)。
いや、中は違うぞ。散乱したプラスチックの蓋、たばこの吸い殻、カセット・テープ、ノートブック。
これらもすべて木とペイントでそのもの感を出している。細かい!ノートなんて使って表紙の紙がすり減っている感が半端じゃないよね。
さあ、じゃ、この「ラスト(錆)」ってたくさん書いてあるのは、グレンがスペルの練習をしたのか?
お姉さんの答えは、「ノー。」彼の記憶によるとこの辺が錆びていて、あとで錆びのペイントを施そう、と思ったけど「錆び」って書いてるほうが面白いかな、とそのままに。がはは。
次のお部屋に移る際に、「まさかこれも作品ですか?」とふざけて聞いたつもりがそうらしい!またもや、木とペイント。おいおい、持ち手とバケツをつなぐこれも木で一つ一つ作ったのか!?
もちろん、この錆びたくぎも木。手で削り作った1000本のくぎです。もー、クレージーすぎ。
さ、一気に片付けましょう。なんの変哲もない白いキャンバス。
なんと666,000滴の白いペイントで作ったものですよ。あ~、やめて!
建物にある消火栓かと思いきや、これも。鎖ももちろん木。
つい、水を飲んでみたくなるこれ。水滴は樹脂。もちろんほかは木。
さあ、もう少しの我慢。お姉さんが最後に、「彼がこっそりいたずらをしたんです。パイプとセキュリティ・カメラを再現してこのフロアーのどこかにつけちゃってます。わかりますか?」何それ。本当に遊び好きのアーティストだな。
じゃじゃーん。見つけきれないので、教えてもらった。
展示室の天井に何気にいるパイプ。
レセプション横の、天井を監視する無意味なカメラ。あはは。
すべて、木とペイント。見ているものが本物か、もしくは偽物か、意味があるのかないのか、それを見極めるのは難しい。それを表現したかったのかな。
興奮しすぎて、疲れた私たち。お茶でまったり締めました。終わりー。